経穴学の古代体系―明堂経を復元する

経穴学の古代体系―明堂経を復元する の詳細

著者は１９４４年生まれで、鍼灸師として臨床と教育を実践しています。本書は東洋医学の原典に記載されている古代の経穴について資料を紐解いて復元したものです。中国医学の原典として「黄帝内経」という古書がありますが、長い年月の中で散逸してしまい、現在は素問と霊枢という形で一部が伝わっています。経穴を中心とした「明堂経」は失伝してその全貌をうかがうことはできませんが、日本でその一部が写本として保管されていて、後の書である「黄帝鍼灸甲乙経」や「千金要方」、「医心方」などにその思想が反映されていました。著者はそうした書を紐解きながら、内容を吟味し、復刻させたものが本書です。前半では復刻の苦労が語られていましたが、誤字や移し間違い、経穴名が別称で書かれているなど並大抵でない手間と時間がかかったようです。現在、採用されている一般経穴との違いは、まずはその数で合計６４９穴あり、所属経違いや部位のズレなどが散見されたようです。後半では全ての経穴について所属経、別称と併記した経穴名、引用元の古文献などがまとめられていました。古代に使われた経穴の姿を浮かび上がらせてくれる良本だと思います。